2012年5月14日月曜日

2009年9月 - アメリカひとり道中記



ハワイ滞在四日目。
この日は各自一日フリータイムだ。フリータイムはこの日一日のみということで、プランニングにも気合が入る。一秒たりとも無駄にはしまいて。

わたしは朝一番でKCCファーマーズマーケットという朝市に行くことにした。

この朝市、新鮮な野菜や果物、そしてそれを使った食べ物などを生産者のみなさんが直売してくれる、とっても魅力的な土曜の朝限定イベントである。
フリータイムはちょうど土曜日にあたった。これは行くっきゃない。

わたしのお目当ては、もちろん食べ物。
ガイドブックに載っていた、「フライド・グリーン・トマト」である。
むかーし同名の映画(キャシー・ベイツ主演)を見たことがあり、緑色のトマトをフライしたその食べ物が何だかおいしそうでならなかったのだが、その現物が食べられるとは。やっぱり行くっきゃない。トマトだけでなく、ショウガをしぼったジンジャーエールも体験してみたいし、大好物のトウモロコシも甘くて美味しそう。


どのように宇宇を作るのですか

わたしは張り切って早起きし、バスに乗ろうとバス停留所まで行った。
ハワイのバスは初体験なので要領がよく分からないが何とかなるだろう。乗り、目的地で、降りる。それがバスのワン・ツー・スリーだものね…。うん。

停留所のベンチでしばらく待っていると、日本人カップルがやってきて、わたしの顔をじーっと見つめた。
何でしょうか? わたしは上戸彩じゃないですよと言おうとしたその時、カップルの女性が、

「ファーマーズマーケットですか?」

と聞いてきた。うなずくと、

「今日は雨で中止ですよ」

…な、なんですってー!? 
いつもの会場での朝市は中止になり、代わりに「ビショップ・ミュージアム」という、位置としては全く正反対の場所で開催されるとか。

…。
よりによって雨とは。

ハワイに雨が降るとは考えてもいなかった。太陽さんさんのイメージしかなかったなぁ。
仕方ない、諦めよう。


予定をひとつ、あっさりと放棄したわたしは、とにかくどこかで朝ごはんを食べようと、クヒオ通りをぶらぶら。
すると朝っぱらから大きな看板を体にかけて、大声でレストランの呼び込みをしているおじさんが。看板を見るとブレックファストが3ドル50セントから食べられるみたいだ。よし行ってみよう。サンドイッチのおじさんに声をかけてみると、日本語のメニューカードをくれた。ギャラクシーレストランというらしい。見た目古い。ガイドブックには載りそうもない雰囲気が漂う。

店内に入ってみると、広いけれどやっぱりどこか古ぼけたかんじがする。
一人でレストランに入ると、以前の一人旅の自由な気分などを思い出し、何となくうれしくなり、自然に笑顔になってくる。わたしがニタニタしているからか、担当のウエイターのおじさんも終始ニッコニコだった。


わたしが頼んだのは、トーストとジャム、ハッシュドポテト、ベーコン、卵2個をお好みで調理の「朝食スペシャル♯2」だ。何か語呂がいい。朝食スペシャル・ナンバー・ツー。4ドル50セント。
窓際のボックス席に座ると、全く磨かれた様子のない曇った窓からクヒオ通りがぼんやりと見える。
毎度思うのだけれども、小さくて薄いトースト、これは何でもビッグサイズのアメリカらしからぬミニサイズだ。でもこれがカリカリしておいしい。バターとグレープジャム(というよりグレープゼリー)を塗って食べる。表面はカリッ、中はホクッのハッシュドポテトも美味しいし、カリカリに焼いてあって何もだかお菓子みたいにパリッとしたベーコン。スクランブルにしてもらった卵は特に味付けがしてあるわけではないので、ケチャップをつけて食べる。そしてアメリカンコーヒー。美味しい。やっぱりアメリカにきたら一度はコレを食べなくちゃ。

朝食を食べたら、次の予定だ。


マーケットの次に予定していた場所は、チャイナタウン。
ハワイに来てまでチャイナタウン。だってだって一粒で二度美味しいじゃない。
チャイナタウンルートのトロリーマップを見ていたら、チャイナタウンの前にビショップミュージアムにも停車するじゃあないか。ビショップミュージアムって…マーケットの臨時会場だよね。…よし、ついでに寄ってみるか! 朝ごはん食べちゃったけど…。

ところが、トロリーに揺られて来てみたビショップミュージアムとやら(美術館らしい)、確かにマーケットは開催されているようだけれども、入り口に入るまでに恐るべき長蛇の列が出来ていた。まるでシーズン中のディズニーランドのよう。これは…。思わず時計を見る。行列を見る、頭の中で計算する。うん、やめよう。
フライドグリーントマトは惜しいけど、一日しかない自由時間の日、列に並んで一時間も二時間も浪費するのは何だかもったいなかった。今日しかない、今日しかないんだという強迫観念から、すっかり余裕をなくしていたわたし。

そしてわたしはトロリーから降りずに、そのままチャイナタウンに向かうことにした。(普通の赤いトマトをフライしたらどうなるのか、今度試してみよう…)。



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